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「秋月先輩」
お昼も近くなり、配っているチラシもちょうど無くなりかけていた頃。
名前を呼ばれ振り向くと、名前も知らない1年生の女の子数人が立っていた。
「あの、東條先輩から秋月先輩に伝えて欲しいって言われたことがあって。
忙しくて抜けられそうにないから、一緒に回れない。
ごめんって伝えててくれって」
……なにそれ。
さっき、自分から言ってくれたのに。
楽しみに、してたのに。
「あー……そう、なんだ」
あたしは何となく気まずくなって、その女の子達から目を反らした。
……仕方ない、よね。
忙しいって言ってるんだもん。
ワガママ、なんて言えないし……
でも、電話でも何でもいい。
出来れば、直接東條から聞きたかった。
直接言ってくれれば、もっとちゃんと諦めつくのに。


