「何なんだよ、お前。邪魔すんなよ」



その男は不機嫌そうにそう言うと、今度は東條の着ているシャツの襟元をグッと掴んだ。


こ、この雰囲気……

もしかして、ケンカとか!?


そんなことを考えながら焦っているあたしをよそに、東條は軽くクスリと笑う。


……へ?

東條、なんで今、笑って?




「……そっちがやる気なら、やるけど?」




クスクスと笑ったまま、東條は言う。

その態度は、相手の男をバカにしたような、見下したような──……


あたしには、そんな感じに見えた。





「ただし……やるなら、俺は手加減しねぇよ?」




男の肩が、ビクリと揺れた。

顔がひきつっているのが、あたしが見ても明らかにわかる。



そのまま、その男は何も言わずにあたし達に背を向けて向こうに行ってしまった。