「蘭……東條くんの前じゃあ、そんなに可愛いんだね」




しみじみと頷きながらそう言う縁。

な、なんか喜んでいいのか、微妙……




「そうそう。……こんな時だけ、ね?」




そう言いながら、あたしに視線を向けた東條をキッと睨み返す。


こんな時だけ、は余計だよっ‼

ああ……もうヤダ。





「……あ、もう時間じゃん‼
蘭、東條くん、早く行こっ」




自分の腕時計を見て、はっとした。

やばい。
もうこんな時間だ……




「じゃ、あたしと縁、受付だから先行くねっ」




顔だけを東條に向け、そう言った瞬間、グッと腕を引っ張られた。




「わ……っ」



「続きは、また後でな」




不意打ちでふっと微笑まれ、あたしはドキッとしてしまったわけで。




「バッ……バカ‼」




心臓、持ちそうにありません。