「……別に、俺は最初から気付いてたけど?
だって俺と同じことしてるから」




縁に怒鳴られて半泣き状態のあたしに向かって、東條はけろっとした表情で返事をした。


……て言うかそこ、今さら答えなくていいし‼
余計に縁の気分損ねちゃうじゃんかっ。





「……もちろん、郁真は知らないんだよね」



「……っへ?」




縁が怒りだすと思って身構えていたあたしは、予想外の言葉に思わず声を上げてしまった。
小さな声で呟いた縁は、そのまま下を向いている。




「ゆ、……縁?」



「だって郁真……女の子らしい子が好きなタイプって言ってたし。

馬鹿力で口が悪いあたしは、猫かぶるしか出来なかったんだもん」




そう言って、俯いていた縁の姿は、今まで見た中で一番女の子みたいで。
やっぱり、好きな人のために頑張ってる縁は可愛いと思った。