「そういえばさ、蘭の家は来るの?文化祭」



「……ううん。
仕事が忙しいみたい」



ほんとは、来て欲しかったけど。

なんて、あたしがワガママ言ったら、お父さんとお母さんは絶対困るもんね。
ただでさえ、今は大変な時なんだから。




「あ、じゃあ‼東條くんの家は!?」



「……え、東條?」



「そう、東條くんっ」




突然、縁が大きな声を出したから思わずビクッとしてしまった。

……にしても、なんでいきなり?




「……さあ?あたし何も──……」




そう、言いかけて。

あたしは、無意識に口をつぐんだ。


そう言えばあたし……
東條の家のこと、何も知らない。

お父さんも、お母さんの姿も見たことがない。



お父さんは東條グループの社長だし……
忙しいのもわかる気がするけどさ。