「お化け屋敷楽しいのにー」



うるさい‼

隣で呟く縁に、心の中で悪態ついてみる。ほんとに言ったら、あたしの命が危ないっていうのがわかってるから。





「……って、あれ?東條くんは?」




キョロキョロと周りを見回す縁に、あたしは小さく「客寄せ」と応えた。


……どうも、あの顔に女は弱いらしい。



──勘違いのないように言っておけば、あたしは、東條の顔に惹かれたわけじゃないからよくわからないけれど。



“お前の笑顔見たら、どんな女だって来てくれるって‼”


なんてことをクラスの男子が言い始め、なぜか東條は駅前まで客寄せをしに行ったわけだ。



……朝から、無理矢理あたしまで連れて行こうとしてたから、軽くケンカして来ちゃったんだけど……


そう思いながら、視線を向こうの方にずらす。