「……ねえ、──そういえば生嶋くん……どうしたのかな？」



「……さあ？」




いかにも興味なし、というような表情で返事をした東條は、そのままあたしの手を離すと自分の席の方に戻ってしまった。


……なによ。
そんなにいきなり態度変わらなくったっていいじゃんか。



とは言うものの、
やっぱり生嶋くんのことが気になってしまうわけで。

……っ。



ごめん、東條。
やっぱり、生嶋くんのことがなんか気になる。


もう一度ドアを開けて、あたしは教室から出た。


走って、さっき生嶋くんと話をしていたところまで戻ってみる。





「……生嶋、くん？」




そこに、着いた時。
壁の影にあった、小さな人影。

そっと近付いてみると、それは小さく座り込んでいる生嶋くんの姿だった。