「あれ、蘭?
生嶋くんと一緒じゃなかったの?」




東條と一緒に教室に戻って来たあたしを見て、縁が首を傾げた。


……え?

あたしは目線を上げて、東條の顔をチラッと見てみる。




「……戻って来てないの?」



「うん。
蘭と一緒に出て行ってそのままだよ?

文化祭の準備手伝って欲しいのにー」




ブツブツと文句を言いながら縁は大きな段ボールをヒョイと抱えると、向こうに歩いて行ってしまった。





「……すげえ力」




縁が歩いて行った後、東條がボソリと呟いた。


……右に同じ。
心の中で、あたしもそう呟く。



縁の目の前で口に出していたら、確実にあたしは怒られていただろう。
縁って、怒ると怖いからなぁ。

そう考えると、背中に寒気が走った。




「見た目は普通なのに……」



……これもまた、右に同じ。