「こんにちはー」

「こんにちは」

璃花と葉月が来て、周囲の子供たちが飛び跳ねて駆けていった。

その中に飛び抜けて大きい子がいたことは見なかったことにしよう。

みどりは苦笑して、そっちの方に歩いた。

「なぁ、飛鳥」

「へ?なに?」

歩いていた筈のみどりは立ち止まって俺を

振り返っていた。

「これ、ある人に言われて聞くんだけどさ」

「ん?」

「お前さ、今、幸せ?」

突然何を言い出すんだ?

「あ、あぁ、幸せ...だけど」

何で?聞く前にみどりはふーんと言って

行ってしまった。


......あの質問をもし、俺がするとしたら

一番、あいつに聞きたい。

真っ黒いフードで綺麗で俊邁で結構天然で

いつだって自分の描く世界と俺たちを守って

きたあいつに。


なぁ、藤堂。

お前、いま幸せ?


そんなこと、きっともう聞けないけど

もし、

もしも。幸せなら。


「飛鳥ー!」

小さい女の子が呼んでる。

返事をして立ち上がった。


あの綺麗な笑顔がまた咲いてるのであれば

それ以上、望むことは、ない。


あの時、言わなかった俺の一番の願い。

『藤堂に生きる幸せを』

それが叶うのであれば

また、きっとあの日のように

出会うことが出来ると信じてる。


お前があの子の幸せを願うように

俺もお前の未来を幸せを

ずっと願ってるよ。