ドロップ!~別編~

ほんとにイカレてるって思うのがここだ。


なんで血の匂いしかしないとこに飯があんのか。

しかもめっちゃ美味そうだし。

「弥生、これ好きなの?」

弥生が食べたのはクリスマスって感じの

手羽先。

「は?好きじゃねぇわけねーじゃん」

「好きなんだ」

にこっと笑う璃花にそっぽを向く弥生。

多分二人は両思いだったと思う。

「じゃあ、これにしよ」

「お前......食えんの?」

珍しく心配気な弥生に璃花は「んーん」と
首を振る。

「藤堂にあげようと思って」

「.........」

「弥生?あっ、弥生待ってよ」

「うるせぇ着いてくんなカス」

「カスって言った方がカスなんだよ!」


可愛いな、思わずクスッと笑ってしまった。


こんな人が死にそう、もしくは死んでる

状況で笑う、なんて俺もなかなかイカレてる

らしい。


「藤堂~」

「......」

笑顔で璃花が藤堂に駆けてく。

どうやら弥生はまた下のヤツの相手をするらしい。

あーあ、俺の方に駆けてくれたら

絶対嬉しいって顔すんのにな。


藤堂は嬉しいのに嬉しいとは思っていないよ

うなまるで普通の顔だった。


「あげる」

「いらねぇ」

...いや、おい貰えよ。

藤堂は高いワインを飲んでいた。

そう、璃花がぶっ倒れた元凶になる酒。


「これ美味しいよっ」

「は?てめぇ食ったのかよ?」

「んーんっ、弥生が好きだから。」

人を殴っていた弥生の体が一瞬 反応した。


藤堂が璃花は気付かないような不機嫌な

顔になる。

璃花といる時に人間らしい表情を出す藤堂に

俺は多分、ちょっと安心してた。


「てめぇが食えよ。」

「...ごめんね、藤堂。私には無理みたい、で」

唇を噛んだ璃花の表情は悲しそうで

それを見た藤堂も、

少し、ほんとに少しだけ

苦しそうな顔をした。