みどりと璃花が九歳になって少し経った時。

『立花 由香』

爆弾魔が現れた。


入ってきた時の由香はとても暗くて。

爆弾を自分に爆発させてしまって腕を怪我した時、まともに話も出来なかった。

『痛くない?』

『......』

『ちょっと染みるよー』

『......ハイ』

声ちっちゃっ。

第一印象がそれだった。

本当に今の由香では想像出来ないくらいで。


たまにあれは幻だったんだろうと思う時がある。

『由香はなんでdropに来たんだっけ?』

俺がそう聞いても。

目に涙を溜めて上目遣いで俺を見るだけ。

可愛い子だと思った。(変な意味じゃなく)


でも、ある日彼女は覚醒する。

入ってきてみどりと同様、好成績だった由香

と言っても流石に璃花を越すことはなく。


璃花はあの時にはもう、任務任務で忙しくて

でも忙しいとも何とも思っていない表情で。

食事もせず、ろくに眠らず。


みどりや俺も死んでしまうんじゃないか

本当にそう思ってしまうくらいで。

たまにぶっ倒れた時にホッと安心するくらい

その位休んでくれない人になっていた。


人々は皆

『冷酷』

『恐ろしい』

『感情がない』

『えげつない』

『悪魔』

口々にそう言って、璃花に怯えるけれど


由香はその時からずいぶんぶっ飛んでいたよ

うで。


困惑する璃花というものを初めて、見た。

「璃花ちゃんっ!」

「.........璃花、でいい。」

「もっかい顔見せて!」

キラキラした顔でフードの璃花を見つめる
由香。

廊下で見た時、思わず目をこすった。


アレって、ほんとに爆弾の...子?

そしてそれ以上に驚くものを俺は目にする。


フードに手を伸ばす璃花。

両手でゆっくりフードを下ろした。

「.........」

久々に見た素顔に璃花を見てきた俺でさえ

何も言えずに固まった。


恐ろしい程に綺麗だった。


周りのヤツも時が止まったように璃花に釘付けになっていて。

おいお前それ首大丈夫かよ

というような感じのやつもいて。

男も女も関係なく皆 璃花から目を離せないでいた。

困惑した様に視線を由香から外して瞬きをする璃花。


薄茶色の長いまつ毛が光に透けて2度上下した。

その仕草さえ俺たちを見惚れさせるには

充分で。

「やっぱり可愛いっ!」

由香は嬉しそうに笑って璃花に抱きついた。

璃花は混乱したように細い眉を寄せて

また瞬く。

美少女二人がくっついているのは結構

見ていて飽きないもので。(変な意味じゃなく)


後ろから来たみどり少年もまたかなり美形。


日本ってすげぇ国だな。

馬鹿みたいなことを本気で思った。