「そんな事にも気付かない、しかも璃花

は飛鳥のこと結構大事に思ってる。

俺も人間だからさ、ちょっとは迷ったよね」


人間。
その言葉が胸に響いた。

ここにいる奴はみんな人間だ。

でも、感情なんて持ってるやつは少ない。

それは上に行けば行くほど無くなっていく。


みどりも、上の方に来ていてきっとそれで

璃花と話したんだろう。


ちゃんと感情があって、情けを知っていて


隅に置けないガキ。

藤堂はこの事を言っていたのか。


「誰も、止めなかったんだってな。」

子供なのに冷たくて低い声。

背筋が凍った。

「璃花が撃たれたとき。」

反論、出来ない。

俺はすぐに行かなかった。
璃花だと思わなかったなんて言い訳だ。

「...そうだよ。」

「え?飛鳥 止めたんじゃねぇの?」

驚いたような素っ頓狂な声。


みどりを見るとみどりは目を丸くして

ぽかんとしていた。


「みどり〜」

「うっわ!こっち来んなっ!マジきめぇっ」


何だか愛嬌が湧いた。

クソ生意気な鮎美 みどりに。


綺麗な心を持ってると思った。

この子も璃花も、絶対にこれ以上傷つけたくない。

人間不信の俺は本当に初めてそう、思った。