「あーあ」

一人の少年がポツリとそう呟いた。

ヤクザの家の長男。dropに送られ、殺された

弟の復讐を目的に走ってきた、鮎美 みどり。



入ってきた時から璃花と並ぶほど、銃のテク

ニック、撃ち方、命中率、銃のことはほぼ完

璧な少年だった。


この少年は直々俺の部屋にきて、

「飛鳥の部屋?救護室じゃねぇの?」

とか。

「飛鳥ってさぁ、医者っぽくない」

とか。


かなり失礼なことを言ってくるやつで。


「お前さぁ、人助けるやつだけが医者じゃな

いからな?殺すことだって出来んだぞ?」

とこっちが脅しても。


「やってみれば?まぁ俺ドロップに貢献して

るし、忠実だしスナイパーだし?

俺が消えたらここが困るだけだけど(笑)」


逆に脅し返される始末。


「それに、璃花がもしかしたらちょっとだけ

悲しむことになる。」

そう言ったみどりの表情の方が悲しそうだった。

「気になる?璃花のこと。」


「俺よりも気にしてるやつにそうは聞かれた

くないね」


驚いて目を見開くと

「どんだけ璃花のこと見てきてると思ってん

の。璃花を見てる奴に俺が気づかないと思っ

た?」

呆れて笑われた。

なるほど。こいつは確かに。


いつだったか藤堂が言っていた。
隅に置いとけないガキがいる、と。

確かに隅に置いとけない。確実に何かしそうな予感がする。