私には過去の楽しい記憶がない。
あるのは暗い記憶。

二度と見たくないあの女の顔が頭に浮かぶ。
頭も痛くなってきた。


落ち着け!落ち着け、私!

「ハァハァ、ハァハァ・・・」

クッソ。苦しい・・・


「先生!キアラちゃんが───キアラちゃん、立てる?」

「(ポカーン)」

そのまま教室を出ようとする、隣の男子。

「ありが、ハァ・・・とう・・・」
お礼は、言うべき。


教室を出ると、彼は本当に保健室に連れて行ってくれた。

でも、何で?
よく分からない。こいつは人間だ。
人間は傲慢で強欲。それしかいない。

なのに・・・こいつは・・・