「帰るのも大変だろう。泊って行くといい」
とのコセラーナの言葉に諦め顔で従ったクーデノム。
 その原因は呑みすぎたーと頭をかかえベッドで呻いているマキセだ。
 いつまでも終わりの見えない宴で、薦められるままに酒を口にしていたマキセ。
 歩くのもおぼつかない彼を抱えて宿まで戻るのは…できるなら遠慮したい。
「なんでお前は平気なんだ」
「無茶な呑み方はしてませんからね」
「俺の2倍は呑んでるだろ」
「さぁ?」
 否定をしない所がクーデノムの嘘をつかないまじめな性格。
 空いてる部屋だから自由に使ってくれと用意された部屋のベッドは、宿よりも柔らかくて心地いい。
 座って落ち着こうとしていた所で、マキセが声をかける。
「で、どうよ」
「なにがです?」
「セーラ姫」
「別に」
「って気に入ってるだろ」
「どうして?」
「クーから女に声をかけるのを初めて見たぞ」
「知り合いが誰もいなかったからです。それに年齢的に対象外でしょう?」
「さあ、どうだかなぁ」
 へへっとにやけ笑いでクーデノムを見上げてくるマキセにバサッとシーツを被せる。
「さっさと寝ろ、酔っ払い」
「あははははは…」
 シーツの下でなおも笑いつづけるマキセを残して、クーデノムはテラスに出た。