クーデノムとマキセは約束の場所へ時間通りにやってきた。
 ルクウートの王宮側にある豪華な建物が立ち並んだ地域。
 祭典にやってくる各国の王貴族のために立てられた別荘…宿代わりだ。
 数日続く祭典の間は、いろんな屋敷が夜会を開き、騒いでいるのである。
『出資はルクウート』と言ったコセラーナの言葉通りとすれば、王宮主催のパーティということだろう。
 待ち合わせ場所にはコセラーナと一緒にいたシキアと呼ばれていた彼が待っていた。
「ご案内します、こちらへどうぞ」
 柔らかな物腰は普段から身に付いたものだろう。
 セーラを気軽に抱き上げた行動を見ても、王の一番の信頼を得ている者なのだと感じる。
 そんな人を迎えによこしてくれるという待遇に、一種の申し訳なさを感じながらクーデノムとマキセは華やかな宮殿へと足を踏みいれた。
 クスイ国には王宮はあるけれどいまいち華やかさには欠けている。
 他国のように王貴族がいないのが原因のひとつだろうが、殆ど国の役所といった役割を果たしているだけの建物だ。と言っても、他国の客を迎える最低限のものは揃っているのだが。
 豪華さを競うよりも、賭けを楽しむ国民性なんだろう。
 シキアに連れられ広間に出ると、すでに数十人もの人々が夜会を楽しんでいた。
「コセラーナ様を呼んで参りますので、失礼します」
 そう言ってシキアは会場に二人を残し去って行った。