【第8話】


「かな~?今日も可愛いデスネ!」
つむぎが変な言葉で私に言ってきた。

私は少しフリルのかかった白色のトップスに、ひざ上丈のジーンズを着た。
髪は2つに分けて、下ろした。
うん・・・。自分でも思うけど、この腰より長い髪はどんな服にも似合わない。
切りたいけど・・・切れないし。

「何言ってんの!つむぎ!
つむぎの方がオシャレじゃん!」

つむぎは肩を出した露出の多いトップスにミニのパンツ。ショートカットに似合う服装だ。

「でもさ・・・今、6月だよ?
寒くないの?」

そう。6月にしては、つむぎの服は露出が多すぎる。

「大丈夫ー!
あ!ほら、こうき達、いるよ?」

私は歩道の上にある、黄色い線だけをバランスをとって歩いた。
そうこうしてるうちに、遊園地に着いた。

遊園地の門にはこっちを見て、ぶんぶんっと手を大きく振っている笹野くんと、呆れたような目で笹野くんをみる一ノ瀬くんがいた。

はぁ~。一ノ瀬くん、私服もカッコよすぎ!!!!ジーパン履いて、足が尚更細く見える!控え目に付けたチェーンネックレスがなんだか かっこよく際立てる。

笹野くんも、一ノ瀬くんもカッコいいから、周りの女の子はソワソワしている。
・・・今日は、一ノ瀬くんは私達と遊ぶために来たんだもんね。
学校の『王子様』じゃないもんね。

あ!ダメダメ!今日の私は事務所のスタッフ!!!!!!!!
いい歌詞のフレーズをゲットすべく!
好きな人いないフリ、貫いてやる!

私は密かにガッツポーズで気合を入れ、笹野くん達と合流した。

「んじゃんじゃ!初めはお化け屋敷でしょ!」
笹野くんが言い出した。
テンション上がっているのか、自撮り棒を真上に上げている。

「はぁ?最初はジェットコースターでしょ!?」
つむぎが迷惑そうに言い返した。最初にお化け屋敷って・・・。笹野くん、本当に面白いな。

「おい~鈴ちゃんを笑わすためのジョークだよ!楠!空気読めー!!!!!!!!」
笹野くんが、自撮り棒をつむぎに向けて言い返した。
ふふふ。2人の会話、夫婦漫才みたい。

「はぁ?意味わかんない。
ほら、かな行こ?」
つむぎは私の腕を掴んでツカツカと歩いていった。一ノ瀬くんは呆れた顔で笹野くんから自撮り棒を没収していた。


「・・・や、や、怖いよつむぎ! 」

「大丈夫ーだってぇー!ほら、かな!目ぇ開けな!」

ジェットコースターの1番テッペン!
落ちるとこで怖くなってきた・・・
横にいるつむぎの手をぎゅっと握った。
あ・・・風が前からブワッと吹き付ける。

キャーーーーーーー!!!!!!!!・・・・・・・・・・・・・・・

ジェットコースターが終わり、みんなでベンチに座った。
1番ダメージを受けているのは・・・
つむぎ。

「つむぎ~ダサいよー?」
私は横になってるつむぎのほっぺをぷにぷにした。つむぎが1番張り切ってたくせに・・・。

「う~(‐д`‐ll)キモチワルイ」

つむぎは少し休んだ方が良さそうだ。
白目むいてる。

「鈴。俺とこうきでなんか買ってくるから。つむぎ、みといて!」
一ノ瀬くんが笹野くんの首に腕を回した。

「う、うん!」

「いやぁーー!俺は鈴ちゃんと一緒にいる~!」
一ノ瀬くんは、笹野くんの言葉を無視して
笹野をズルズルと引っ張って行った。

・・・・・・・・・ひゃーーーーーーー!!!!
一ノ瀬くんに名字、初めて読んでもらえた!!!
でも・・・一ノ瀬くんは そんなこと、なんとも思ってないんだろうな。

あ!この気持ち、歌詞にしよう!