【第20話】


あ・・・私、寝ちゃったんだ。朝の光が体中に当たるのが分かる。でも・・・まぶたが重い。きっと、この心地よい布団のせいだ。

「おーい。かなでさん?」
こうきくんかな?私の顔を覗き込んでいるのだろう。あ~動きたくない。まぶたが開かないよ・・・。

「早く起きないと・・・キスしちゃうぞ?」
いたずらっぽい声でそういう こうきくん。
え!?キ、キス!?そんなのダメ!!!!

私はバサっと布団から出た。こうきくんが笑いをこらえるようにお腹をおさえる。
くっくっくって笑う。

「ひ、ひどーい!こうきくん!」
私は きっと顔が赤いだろう。だって顔が熱いのが自分でも分かるもん。
好きじゃない人でも、嫌いじゃなきゃトキメイちゃうよね。

「おい、鈴に何ちょっかいかけてんだよ」
一ノ瀬くんがエプロン姿で部屋に入ってきた。そしてこうきくんの服を引っ張って部屋の外に出そうとする。

「あ、鈴。ご飯出来たから着替えて出ておいで」
こうきくんは、じたばたしてるけど、そんなのお構い無しかのようにズルズルと引っ張っていく。あ~一ノ瀬くんのエプロン姿で目ぇ完全に覚めたよ。一ノ瀬くん、なんでもカッコイイなぁ。
っていうか!私、頭ボサボサを見られちゃった!!!!あーもー!一ノ瀬くん忘れて~


「かな おはよ!」
つむぎが目玉焼きを 頬張りながら私をダイニングに呼んだ。
私は身支度も済ませ、髪も整えた。今日は下ろしてみた。
ん~気持ちいい!あの布団、欲しいくらい。いや、一ノ瀬くん家の布団だから寝心地良かったんだ。

「ん、おはよ。・・・わぁ美味しそー!」
イスに座ると、目玉焼きやレタスサラダ、トーストまであった。トマトなどもセンスよくラッピングされていた。
外国のランチみたい!とってもインスタ映えする感じ!

「うん。そらの料理、めちゃめちゃ美味しいわ」
つむぎが知ったような顔をする。
一ノ瀬くん嬉しそうにはにかんだ。

「あー!ほんと美味しい!!!!どーやって味付けしてるの!?」
私はサラダのレシピを前のめりで一ノ瀬くんに聞いた。

「えと、少しだけ、塩とごま油であえているんだよ」
一ノ瀬くんは、優しく教えてくれた。
顔よし、頭よし、性格よし、家事よし・・・こんなにカンペキな男の子って他にいる!?
あ・・・カラオケは無理なんだっけ?

「いや~そらはいいお嫁さんになれるよ」
つむぎが娘を嫁に出すように勿体なさそう に言った。

「おう!そーだそーだぁ!
そらちゅわーん!僕の嫁になって♥」
こうきくんがつむぎのノリにのる。
一ノ瀬くんは気持ち悪いみたいな顔をしてこうきくんを引いている。

クスッ。ほんと面白い。
このメンツは最強だなぁ。