【番外編】~お風呂の後~(一ノ瀬宇宙)


「あれ、かなで寝ちゃったのか?」
こうきがつむぎに聞く。
鈴は・・・ダイニングテーブルのイスに三角座りして眠っていた。あ・・・やべ。寝顔、最っ高に可愛い。いや、寝る体勢も可愛い。

「うん~このままにするのもあれだしさ、かなが寝る所に どっちか運んであげてよ~」
つむぎがテレビを見ながら適当に俺達に言った。

よし、客間に布団敷いてあるから、そこに運ぼう。ん?でもこれってお姫様抱っこってやつをしなきゃダメなのか?

「おい、そら。客間だろ?
俺が かなで運ぶからドア開けて 」
こうきが仕切った。
俺はとっさに こうきが鈴に触れようとした手を横切った。

「お、おい?そら。避けろよ」
こうきが驚いていたけど、俺が鈴の事が好きなのを思い出し、悟ったようだ。
すこし、声のトーンが低くなっている。

「俺が 鈴を運ぶよ」
俺は大人の余裕のように、さらっと言葉を発した。鈴をお姫様抱っこする。
腕の中に好きな人がいるって、幸せだな。
柔らかくて温かい。そしてお風呂上がりだからか いい匂いがする。

「お、おう」
こうきが諦めたらしく、客間のドアを開けてくれた。

布団に鈴を横にさせる。鈴はコロンと寝返りをうった。
白くて弾力のありそうな肌。
綺麗なうなじ。長くて艶のある髪。
今は まだ気づいてないけど、クラスの男子の中には、いつか鈴の事が好きになる奴が出てくるだろう。

そうしたら鈴はその男子と仲良くなるのか?付き合ったりするのか?そんなの・・・嫌だ。
・・・俺って独占欲、こんなに強かったっけ・・・?

その日、俺は色々な意味で眠れなかった。