【第14話】


よし。クマはあるけど、
制服をしっかり着て、学校へ向かいます。
あんま眠れなかったけど、やっぱり、自分の気持ちに正直でいたい。


「おはよ。かな。」
いつもよりローテンションのつむぎが私の前の席に座った。

「うん。おはよ。」
私も答える。

「つむぎ、あのね・・・?」
私はイスに座った つむぎを振り向かせた。

「ん?どした?かな」
つむぎはこういう時、しっかり話を聞いてくれる。心強い、大好きな親友だ。

「私、こうきくんに返事してくる。」
決意の表明。しっかりとした口調で言った。

つむぎは 驚きも、納得もせず、
「うん。行ってらっしゃい」
とだけ言った。


「こうきくん!」
校門を入ってきた こうきくんを呼び止めた。ブオッと強い風がふいた。

「おう、かなで。」
いつも通り、挨拶してくれた。

「あのね、昨日の返事なんだけど・・・」
私は言いかけた。けど、

「うん。知ってる。断るんだろ?」
こうきくんは知ってたかのように答えた。

「・・・うん。」
私も答えた。なんか、ごめんなさい。
私、好きな人、本当はいるんだ。
言えないけれど、心の中で言った。

「ごめんな。かなで、優しいからさ。一晩中 考えたんだろ? クマができてる。
ありがとな。 」
そう言って、こうきくんは風で崩れた私の髪を整えてくれた。
こうきくん、やっぱり優しいな。
私なんか、優しくもなんともないよ。

「ううん!大丈夫!
でね・・・こんなときにお願いなんだけど・・・」
図々しいかな?でも、このお願いは聞いてほしい。

「ん?なに?」

「あのね・・・これからも友達でいてくれる?
あ、ううん。『親友』になってくれる?」
背の高い こうきくんを下から見上げた。
お願い・・・聞いてくれるかな?

こうきくんは驚いた様子だったけど、
「おう!もちろん!」
って笑顔で明るく返事してくれた!

「ありがとう!!!!こうきくん!」
私も にっこりして こうきくんに言った。