【第12話】


できました!できましたよ!
新しい歌の歌詞!
昨日の一ノ瀬くんのおかげで、いいフレーズが浮かびました!

『あなたは?私が名前を呼んでも。
特別に思うことなんてないよね。
私は・・・なんで自分を好きにならない人を好きになっちゃったんだろう?』

これに、前の歌詞をくっつけようと思います!!!!曲名は・・・『名前』!!!!
うん。我ながらいい詞が出来た!

もう朝の5時だけど、もうひと踏ん張り、メロディーをつけよう。
ピアノ専用の部屋に移動して、メロディをつけた。
私は、それから一週間、寝ず食べずで私の作った曲を歌う人達に歌い方の指導して、
OAをプロデュースして・・・。
とにかく疲れた。

でも・・・この曲を作ってて、私は夢を持った。それは・・・シンガーソングライターになること。簡単には慣れないと思うけど、この持ち前の作詞・作曲の能力と歌唱力を有意義に使いたい。
でも・・・パパは反対だろうな。
最近、いろんな意味で眠れない・・・。


~数日後~
「おはよー!かなたん!
あれ?眠そうだね?」
後ろからつむぎが私の肩に腕を回し、変な口調で挨拶してきた。

「眠いんだから耳元で喋んないでよ~」
私は つむぎを引き離した。あ~木曜日の朝なのに眠い!!!
月曜日ならまだしも、中途半端な木曜日・・・。

「もー!この間のそらといい、かなでといい。みんなどーしちゃったワケ!?」

・・・はいはい。つむぎ、お願いだから静かにして・・・

「かなで!」
こうきくんが私を後ろから追いかけてきた。
私が振り向くと、こうきくんは肩で息していた。

「こうきくん。おはよ~・・・息上がって・・・
どーしたの?」
走ってきたのかな?

「あのさ・・・俺さ・・・」
少し小声で聞こえづらい。

「ん?」
私が聞き返した所で、

「俺、かなで が好きなんだ!」

びっくりするくらい大きい声で、こうきは言った。

・・・え?、え?こうきくんが 私を好き!?
私・・・眠すぎて頭、ボーッとしてる?

「えーー!?あんた、かなで が好きなの!?」
私より先に反応したのは つむぎ。

その光景をこうきくんの少し後ろからみていた人がいた。
・・・一ノ瀬くんだった。