この学園は、周りでも有数の進学校。大体の生徒が難関大学を目指している。可愛くて、頭もよくて、オマケに美男美女が多く通う。そんなことろに、ホントは私なんかがいていいはずないと思う…


所謂、うっかり進学するとこを間違えたって感じ。


今の所大学に進もう、とも思わない。なんて言うか、将来なりたいものがハッキリしてないから進む道がわかんない。


だから、今もこうしてぼーんやりして高校生活を送っている。なにかひとつでも、私に夢中になれるものがあったらなんて思う。


部活はやってない。1年生の時に入部届を出しそびれ、もうそこでココロが挫けた。要するに、初っ端のスタートでコケちゃった。


今の時期に入ったって、邪魔者扱いされる事も薄々分かっている。わざわざ自分からそんなことはしたくない。


というわけで、部活関係の友人も少なければ親しい先輩後輩もいない。あーあ、こんなことになるのならスタートコケなければ良かったなぁ…


過去の自分を少し恨んでいても、時間は過ぎていく。こればかりはもうどうしようもないものだ。


授業は難しいうえに、進むスピードがはやくてイヤになる。そのくせ分からなければちょっとだけイライラする。

「我ながら面倒な性格してるよね…」

もう帰りたいや………

休憩中、することもないから窓の外をぼんやりと眺めていた。雨は降り続いたままだ。すると、突然肩をぽんっとたたかれた。

「!?」

思わず身構えると、くすくすと笑いをこらえる声が聞こえた。私はその声の主の方を向いた。

「…っはは、智和どんだけビビってんだよ。マジ笑えるんだけど」

そう言って、前の席に座ったのはクラスメイトの里中 陸玖 (さとなか りく)。私によく話しかける変な男子。

と、いうか普通にかっこよくて、クラスのムードメーカー的存在な彼。そんな彼は、よく私に絡んでくる。

理由は、、、

「千佳なら向こう行ったよ。」

「ちぇ、なんだよ桃園いねーのか。驚かし損だなぁ。」

「言い方酷いよね、ホント。こんな姿千佳が知ったらどう思うのやら。」

「げっ!それは勘弁してくれよ!!」

…彼は、千佳の事が好きみたいでそれで仲のいい私とも仲良くしているって訳だ。
ちなみに、千佳に好きな人がいることは知っている。それでも好きみたいだ。

「青春してんね…羨ましい」

「は?こんな辛い青春なんてお前にくれてやるよっ!!…まぁ、俺がしたくてしてんだから良いけど。」

そう言って、私の方をちらりと見た。

「って言ってるけど、智和にもいつ青春くるかわかんねーぞ?もしかしたら、今日かも知んねーしよ。な?」

ニヤニヤして…もうっっ

「ハイハイ、そうかもねっ。ほら、もう授業始まるよ??戻りなって」

「えっマジか!やべえ、じゃまたな」

慌てて自分の席に戻っていった陸玖。辛くても、青春してるっていいじゃん…