恐る恐る謝ると、菜々は手を掴んで走り出した。
「もうあとちょっとで電車行っちゃうよ!!今度奢りだからな!」

え、嘘!
私は走りながら腕時計を見た。
…確かにやばいな。

私達はペースをあげ、駅まで飛ばした。

階段を駆け下りた所で電車が来た。
「ハァ…間に合っ…」
“た”って言いたかったけど、電車のドアが空いた瞬間目を疑った。そこには久しぶりに見る満員電車。

ツイてない…
やっぱり、運使い果たしたのかな…?
ガッカリしたけど、もう遅れてもいい。次の電車だ!

…と思っていたら、菜々が私の手を引っ張って電車の中に突っ込んでいった。
…まじ?!

こんな満員の中着くまで耐えなきゃいけないなんて…
二人で乗り込んだのはいいものの、窮屈すぎて人に塗れた電車の中はぐれてしまった。