なに…これ?
なんか、昨日走ってるところを見てたみたいにまた胸が熱い。

熱かな?
私はボールを持ったまま動けなかった。
嬉しいのと、なんかよく分からない感情が混ざり合う。

「鈴音?」
動かない私に心配して菜々が駆け寄る。

「……」
菜々に言おうと思ったけど、思い出すだけで顔が赤くなる。
そんな私の顔を見て何かを悟ったみたい。

「あー、あいつね。入学してから早々授業に遅刻なんて、ヤバくない?」
菜々は苦笑いしながら言う。

「それもそうだけど…。」
お礼…言えなかったな。

私は人と普通に話せない。
しかも異性なんてもっと無理だ。

でも、なんかわからないけど
あの人には話しかけてみたい…って思ったんだ