スタッフ名簿に、彼女の名前を見つけた時、どんなに嬉しかったか!


いつか、この時の気持ちを彼女に伝える日があるだろう。


その前に、まずは、彼女を捕まえてしまわなければ何も始まらないのだから…


さぁ、シンデレラを迎えに行ってこよう!





ここに来たくなかった。


だけど、仕事振りを評価されてと言われては断れない。


高さ245メートル、47階もある大きな建物だ。


その上層部、21階からが麻生本社がある。


私のような経験の浅い物は、下の階からの清掃になる。


その事にホッとしているのに、どこか落ち込んでいたが、いざ仕事が始まると今までと勝手が違い、あたりをキョロキョロしていたら、ここのチーム長に叱責されてしまった。


「須藤さん、キョロキョロしない。ガラスの向こうからこちらも見えているのよ。清掃員がキョロキョロしていたなんて報告されたら、契約の打ち切りもあるんだから、仕事に集中してちょうだい」


「すみませんでした」


廊下の床をモップで拭いていると、上から降りてきたエレベーターが21階で止まった。


ドアが開き、中から出てきた人物に思わず回れ右をして、モップから手を離し逃げる態勢を取った。