御曹司様はシンデレラを溺愛する


「そう?」


ちょっと、美味しい料理に惹かれ始めた私を優里亜はダメだしとばかりに悪い笑みを浮かべ誘惑の言葉を続ける。


「そうよ。美味しい料理にお酒、そしてその場に優里亜として行くだけで10万、30万円のアルバイト代が入るのよ。どう⁈いい話でしょう」


ゴクッと喉が鳴る。


今の私には、30万円なんて大金でしかない。


どうして、私にお金が必要かと気になるわよね。


家出中だからだ。


昔は、ただ綺麗な着物を着れる事が楽しかった。


だが、このご時世、普段から着物を着る人なんて減っていく一方で、父の代から新成人の皆様に着ていただく振袖着のレンタル業を始めると、うなぎ登りに売り上げが伸びるて私はお嬢様と呼ばれるようになっていた。


父もただの問屋の主人から、社長と呼ばれるようになるとお金使いが荒くなり、優しかった父は人が変わったように傲慢な人になってしまった。


そんな父に反発してあの家を出たいが為に、その場しのぎに大学を卒業した後は家を継ぐ事を承諾してしまったのだ。


優里亜も私も一人っ子の跡取り娘だからか、親同士が結託し同じ大学に入れられたが、出てしまえば、こっちのものだとタカをくくっていた。