「初めまして、娘の優里亜です」
ニコッと笑った。
尊が、お前は誰だと言う顔で反応している。
「えっ、優里亜さん?」
「はい、優里亜です」
面白い!
自分が思っていた人物と違うものね。
「この度は、ご招待してくださってありがとうございます。ずっと、お会いしたいと思っていたんですよ。シンデレラのお話でも後ほどしませんか?」
一瞬、何の事だと思った男だが、頭の回転が速い。
「王子がシンデレラを探しているお話でしたね」
「はい、では後ほど」
「お声をかけさせていただきます」
優里亜は、自分の思うとおりなら尊は姫花を探していて、今回のパーティーに加藤家を招待したんだとわかった。
なぜなら、加藤と名乗る家がうちだけじゃなかったからだ。
それも、娘がいる家ばかり呼ばれているようだった。
これが、偶然の訳がない。
しばらくして、招待客との挨拶が終わった御曹司が冷ややかな目つきで、外に出ろと顎で指した。
なるほど、これが姫花が言っていた傲慢な態度ね。
優里亜と名乗った人物が違う人物で、イラついている様子に目に見てわかり苦笑せずにいられない優里亜。
どれだけ、姫花に夢中よ。
まぁ、簡単に合わせてあげないけどね。