あの時、うまく思い出せないけど、柔らかな手が頭を撫でてくれた記憶があった。
辛かった私を優しく包み込むように。
でもそれが俊だったの?
たった2年前の事なのに、その記憶だけぼやけていた。
『あの時は何があったか知らなかった。でも後から聞いたんだ。俺の父親から…』
『どうゆうこと?』
目に溜まった涙が落ちてしまいそうで、震えた声を張り上げた。
『ごめんな。俺はそれでもお前が、結衣が好きなんだって思ってしまった。同じクラスで隣の席なんて運命だと思ってしまったんだ。本当にごめん。』
俊の目にも潤いが増してきていた。
ああ、これは現実なのか。