なんて考えながら、しばらく歩いていると今までの道とは違う、広い住宅街に出た。似たような大きな家がたくさん並んでいる。その中から、白い壁のオシャレな家を見つけ出し大きなドアの前に立った。インターホンを押す。額に張り付いた髪を簡単に整え、背負っていたリュックを理由もなくもう1度背負い直す。
「はい。」
インターホンから女の人の声がした。
「あ、久我山です。」
そう答え、モニターがあるかは分からないがとりあえず小さく礼をした。
「ちょっと待ってね。」という声が聞こえてから約10秒くらいでがちゃ。と玄関のドアが開いた。中からは優しそうな顔をした綺麗な女の人が出てきた。
俺は慌てて挨拶をした。
「お久しぶりです。」
女の人はにっこり笑って言う。
「久しぶり。入って入って。」
「おじゃまします。」
ここには去年も来たが、あの時とあまり変わらない。いやしかし、あの時よりさっぱりとした、明るいイメージはある。
玄関からすぐ見える、2階へ続く階段を上りながら、女の人は言う。
「ごめんね。久我山君だって忙しいでしょう?ただどうしても見せたくって。」
申し訳なさそうに眉を寄せると、元々大きな瞳がもっと大きく見えた。
「いや、全然大丈夫っす。」
俺はそう言って女の人に笑いかけた。
2階に上がってすぐ右の部屋。真っ白のドアには『めい』と書いてある。なんの躊躇もなくドアを開けた女の人に続いて、俺も中に入る。ふかふかそうなベッドと大きめの机。クローゼットも