☆ ダイスキなひと 暁が亡くなった。 その夜,月は紅かった。 紅い月は,静かに あたしを見つめていた。 雲ひとつないのに, 雨が降った。 まるで…月が 泣いてるみたいだった。 その雨は, すごくやわらかくって 温かくって…… あたしを励ましてる みたいで,また 涙が零れた。 一生の眠りについた 暁の寝顔は, なぜか幸せそうだった。 暁の親戚のひとは, 少なくて,泣くひとは ひとりもいなかった。