紅い月が離れるとき



なんだか,すごく
気分が悪かった。


暁は一生懸命に生きている
んだって思ってたから。


――なんで,諦めちゃったの?
自分の命……。



――翌日

朝から雨が降っていて,
外での撮影はなし。

いつもより,ずっと
早く終わった。

いつもみたいに,あの病院に
向かう。


…ガラッ


「あ,柚苗!」


もう元気になったみたいで
マスクがなかった。


「今日は早いんだね?」


「そう……かな?」


なんでだろう……?

会話がうまく,続かない。
言葉がうまく,出てこない。