「なあに? いいわよ」
訊きたいことはたくさん
あって,どれから訊こうか
迷った。
「…あの,暁のご家族って
なんでお見舞いに
来ないんですか?」
「あ~…,えっとね。
暁くんの両親は,暁くんの
小さい頃に亡くなっててね,
暁くんが入院し始めた頃は
おばあちゃんのとこに
いたそうで,よくお見舞いに
来ていたわ。
でも,1年前……
おばあちゃんも亡くなって
しまったの…。
それで,一時退院の時,
誰のとこに行くかって
親族みんなで話したそうよ。
で,結局暁くんは,隣の県の
おじさんのとこへ行くこと
になったの」
「…それで?」
「暁くん……,おじさんのとこ
で倒れたのよ」
――倒れた?
一時退院してて?
もしかして虐待とか!?
「病気の発作だった。
だけど,暁くんが倒れたのは
おじさんの家に誰もいない
ときで,危機一髪だったの。
それでおじさん…
"もうこんなことに
巻き込まれたくない!"
って―――。
で,それっきり。
ま…暁くんもその発作のあと
そのまま入院で…」
"そんなことに
巻き込まれたくない!"
って――,
暁が悪いんじゃないじゃん!

