紅い月が離れるとき


たくさん……は話せなかった
けど,暁はあたしの話を
いっぱい聞いてくれた。

時には笑って,時には何か
言ってくれて。


暁が笑うと,あたしも
自然と微笑んだ。


でも,やっぱり辛いのか…
30分くらいで寝てしまった。

あたしは起こすわけにもいかず
ひとり,病室を出た。


「…あ,柚苗ちゃん」

「平口さん」


病室を出ると,平口さんが
いた。


「暁くんの様子は?」

「いまは寝てます。
ちょっと訊いてもいいですか」