紅い月が離れるとき



「柚苗ちゃん,
落ち着いて…?
暁くんは大丈夫だから」


「え? 大丈夫なの?」



「ええ。
ちょっと今朝,発作を
起こしちゃってね。
いまはもう平気なのよ。
ただ,いま私たちが
いるのは回診のため。
何時間に1回来ているの」



と,平口さんは
分かりやすく教えてくれた。


…―大丈夫なんだ。


暁は――死んだりしないんだ。



そう思ったら,
パニックになっていた頭も
徐々に落ち着いてきた。