「私は、重くないですか?」

美陽の言葉に驚く。

「何で?」
「私は地味だし、束李みたいに明るくもないし。私は…」

受験勉強の為、離れていた間に美陽は不安になった。
自分の思いは重すぎてはいないか。
本当は応援も迷惑でしかないんじゃないか。
先輩に釣り合える人ではないのではないか。

色んなことをグルグル考えて自信をなくして…。

「今日も本当は嬉しかったんです。誘って貰えて先輩と一緒にいふことが出来で」

でも…。
自分に自信が持てない。

美陽は俯き涙をこらえる。
するとぎゅっと力強くにぎりしめていた手に自分よりも大きな手が重なる。
それはとても暖かくて心地よくて、甘えてしまいそうになるほどの。

「俺は嬉しいよ。一生懸命応援してくれることも、俺に追いつこうとしてくれてることも、美陽の全部が嬉しい。重たい、なんて思ったこともないよ。逆に引かれてないかって俺が心配になる」

包まれている手が暖かくなっていく。
ずっと冷たかった手に温もりを感じる。

「美陽。難しいと思うんだけど、どんどん自分の気持ち俺に言ってよ。不満とか不安、それじゃなくても他愛のないことでもいいから。人の事を大切にできる美陽はすげぇ尊敬してる。でもだからって何でもかんでも優先して自分を後回しにしたら、自分が…美陽が壊れちゃう。」

悠琉の美陽の手を握る力が強くなる。

「相手の気持ちなんて二の次でも三の次でもいいんだよ。俺がどうしたいかじゃなくて、美陽がどうしたいのか。自分を優先してもバチは当たらない」

悠琉の手の甲に美陽の堪えていた涙が垂れる。
こんな気持ちは初めてだ。
どうしたらいいのかすら分からない。
けれど、自分の気持ちを言って欲しいと望んでくれた。
美陽は涙を止めれそうになかった。