俯く楽に、美陽は言った。

「私も初めてだったの。こんなにも人を好きになるなんて思ってもみなかったから。楽のことも好きだけど、きっとそれとは何かが違うの」

美陽は照れながらも笑う。
本当に幸せそうな顔をしている。
楽は美陽の幸せそうな表情を見てどこか納得した。

「美陽は…、幸せなんだね」

楽がそう言うと、美陽は悠琉をチラッと見て満足そうに頷いた。

「そっか、分かった」

楽はそう言って悠琉の方を見た。

「美陽を泣かせたりなんかしたら許さねえかんな」
「それは、承知の上だよ」

楽は一人公園を出る。
美陽が見た楽の背中は、どこか晴れ晴れとしていた。