今日は雨が降った。
美陽は教室で項垂れていた。

「どうしたの?美陽」
「束李…」

束李は美陽の前の席に座った。
美陽は何があったのかを束李に話した。

「それは仕方の無い事じゃないの?今って忙しい時期だし…」
「うん、分かってはいるんだけど…」

美陽はここ数日、悠琉と連絡を取っていなかった。
学校でもなかなか会うことは出来なかった。

「美陽って案外甘えん坊というか、寂しん坊というか…わがまま…?は、ちょっと違うな」

束李は親身になって考えていた。
でもさ、と束李は続ける。

「でもさ、受験生だし季節も秋でもうすぐで本番!みたいなところあるから仕方ないよ、うん。」

束李は美陽の頭を撫でた。

「雨が降ってるから湿っぽくなるんだって。前向きに考えたら?」
「…どうやって?」
「あー…んー…と。…ごめん」

美陽はため息をついた。

「今日は駅の本屋寄って帰るよ」
「そっか。じゃあ、またね」
「またね」

美陽は束李に手を振り返し学校を出た。