悠琉がお風呂から上がると、既に花火は始まっていた。

「何してんの?」

タオルを首に巻いた悠琉がベランダに出る。

「あ、悠琉さん」

美陽は悠琉に駆け寄り隣に並んだ。

「せっかく花火を持ってきたのでやろうということになって…」
「なるほど、俺も混ぜて」

悠琉は龍月に花火をもらいに行った。

「美陽、おいでよ」
「うん!」

美陽は束李に近寄り近くで花火を見ていた。

「おーい、打ち上げるぞー!」

龍月の掛け声が聞こえて束李が火が消えた花火をバケツに入れて龍月の元に駆け寄った。
美陽はその場で立ち上がり空を見上げた。

「すげー…」
「はい、とても綺麗です」

皆が皆打ち上げられた花火に釘付けになった。
打ち上げ花火を打ち上げ終えると残った花火は線香花火だけになった。
一本ずつ持って4人でしゃがんだ。
下から線香花火で照らされた4人の表情はとても楽しそうに見えた。
細かい掃除は龍月と束李に任せ、美陽と悠琉は少し歩くことにした。

「花火…楽しかったですね」
「ああ、楽しかった!」

ゆっくりと歩きながら話をする。

「いい思い出ができました。…」

美陽は何か言いたそうに俯く。

「どうかしたか?」

悠琉は美陽の様子を伺う。

「いえ…、来年もこうして過ごせたらいいなと思っただけです」

美陽は嬉しくも切なそうに笑った。

「来年も、来れたらいいな。このメンツで」
「はいっ!」

美陽の初めての旅行はいい思い出ができたものだった。