その日、束李は美陽の家に泊まった。
美陽は眠くなるまで束李の話を聞く。
束李はスッキリしたように眠りにつく。
美陽は安心して眠りについた。
朝起きると、美陽の部屋に束李がいなかった。
美陽が起きると、束李は朝ご飯の支度をしていた。

「おはよう美陽、勝手に借りてごめんね」

焼いた魚を皿に盛ってテーブルに並べていく。
美陽は元気な束李を見て小さく微笑む。

「おはよう束李。ありがとう」

美陽は席について束李を待つ。
束李が席に着くと揃って手を合わせた。
ご飯食べてるときに束李が言った。

「美陽、私ね決めたの。先輩に告白する!…振られても走ることはやめない。大好きなことは絶対にやめたくない」

束李は好きなことをやめる辛さを十分に分かっていた。
だからこその決断だろう。
龍月は3年生だからのちにやめる。

「そっか。頑張ってね」

美陽がそう言うと、束李は嬉しそうに笑って頷いた。
束李は美陽の前で龍月にメールを打った。
謝罪と呼び出すための。
美陽に一度見せてから送る。
それほど不安でもあるのだろう。
メールを送ると束李は深い息をついた。
美陽は束李の頭を撫でた。
告白するのは休みが明けた月曜日。
束李だけでなく、美陽までもが緊張していた。