テスト2日目の朝。
美陽はあまり寝れず、テスト勉強にも集中ができなった。
その原因はやっぱり悠琉からのメール。
美陽はテストに集中するため、自分に喝を入れる。

「…何だろう」

美陽はテスト以外の時間、ずっとうわの空だった。

「美陽?終わったよ~」

束李の声でハッと我に返る。

「あ、ごめん…」
「ずっと上の空だったね、どうかしたの?」

束李は美陽の心配をする。
美陽は何でもないと答えた。

「そっか、帰ろう?」

束李に言われて帰りの時間ということを改めて美陽は知った。
そして悠琉からのメールを思い出した。

「ごめん束李。用事あるから先に帰っていいよ!」

美陽が両手を合わせながら言う。
束李は待ってると言って教室に残った。
美陽は教室を出て悠琉にメールを送った。
返信で悠琉が待つ場所が送られてきた。
美陽は急いでそこに向かった。

「先輩、遅れてごめんなさい」

美陽は頭を下げて謝った。
悠琉は笑って大丈夫と言った。

「こっちこそ、来てくれてありがとう」

悠琉はどこか緊張しているように見えた。
美陽は悠琉に聞いた。

「それで、どうしたんですか?」

悠琉は少し口ごもる。
美陽は悠琉が話してくれるまで待つ。
美陽は悠琉を見て微笑んだ。
悠琉はそんな美陽を見て落ち着きを取り戻した。

「あのっ!…一目見た時からの一目惚れで、ずっと好きでした。」

美陽は静かに待つ。
自分は悠琉の言葉に答えればいいだけと思っていた。

「俺と、付き合って下さい」

悠琉は真っ直ぐ美陽の目を見た。
美陽も逸らさないで見つめ返す。
美陽は口を開いた。

「私は、春にグラウンドで先輩を見てから先輩に憧れました。そして憧れがいつの間にか好きに変わってました…。」

美陽は恥ずかしくなり俯く。
悠琉は俯く美陽の手を取る。

「大丈夫、俺も待つから…」

悠琉は美陽の手をぎゅっと握った。
美陽は嬉し涙を堪え、続ける。

「私からも、よろしくお願いいたします。」

美陽がそう言うと悠琉は嬉しさのあまり美陽に抱き着いた。
美陽の顔が真っ赤に染まる。

「ありがとう、よろしく」
「こちらこそ」

美陽は震えた手で恐る恐る悠琉の背中に手をまわす。
美陽と悠琉は手を繋いで束李の待つ教室に向かった。