中学を卒業した。
行きたい高校もなく、友達と同じ高校を選んだ。
1回だけその友達と見学に来たことがあった。
「美陽、私部活の見学してくるけど…どこで待ってる?」
友達の上田束李は活発で、中学の頃も部活を一生懸命にやっていた。
「んー…私は図書室見に行こうかな。通い始めたら使うと思うし」
次沢美陽は活発な束李とは違い、中学も部活には入らず、帰宅部でいた。
「分かった、終わったら連絡するね!」
「うん、お願い」
「じゃあ、行ってきまーす」
楽しそうにグラウンドに向かう束李を見送る。
美陽は鞄を持ち直し、図書室に向かった。
「やっぱり種類が豊富だな」
ライトノベルに文芸、哲学書籍に参考書、歴史文献など幅広い本があった。
美陽は図書室の中に入り、窓際の一番端の席に鞄を置いた。
気になる本を手に取りパラパラと数ページ捲る。
読めるだけの本を腕に抱え、鞄を置いた席に戻った。
中学の頃も束李の部活が終わるまで図書室で時間を潰していた。
美陽が座った席の窓からは丁度、グラウンドで部活動している運動部が見えた。
束李が見学している陸上部の姿もあった。
キーンコーンカーンコーン…
学校の鐘が聞こえて五時であることに気づく。
「もう終わりなんだけど…」
「あ、すみません」
司書の萩村侑士が美陽に声をかける。
美陽は読んでいた本をあった本棚に戻した。
侑士と共に図書室を出る。
「また来るといいですよ」
「はい、ありがとうございました」
侑士は「さようなら」と言って階段を下りて行った。
美陽はハッと思い出し、鞄の中から携帯を取り出す。
携帯を開けば束李から複数、連絡が入っていた。
美陽はすぐさま束李に電話をした。
「ごめんね束李」
『本当よ。後でジュースおごってね』
「うん、分かった」
『じゃ、玄関からすぐ出たとこで待ってるね』
美陽は携帯を鞄にしまい、すぐに玄関に向かった。
靴を履いて外に出ると、束李は待っていた。
「美陽遅い」
「ごめん束李」
「まあ、気づかなかったら仕方ないよ。帰ろ」
「うん」
美陽は束李に謝り、束李は振り返り笑った。
「束李はまた陸上やるの?」
「うん、今日は空気を掴む為の見学でね。それはそうと、美陽は何かやらないの?」
束李は小学校の頃からクラブに入っており、中学の時も陸上部に所属していた。
大会も中学三年間連続優勝する程の実力の持ち主だ。
「私はやりたいこともないから、どこにも入らないかな」
美陽は束李みたく運動が得意と言う訳でもない。
運動よりも勉強や本を読んだりしている方が好きだった。
「部活始まったら帰りも遅くなると思うけど」
「図書室にいるよ。閉まったら教室にいるし大丈夫」
「分かった。美陽がいいならいいか」
束李は微笑み言う美陽に対しどこか諦めたような、嬉しいような悲しいような複雑な気持ちで言った。
束李と別れた後、美陽は窓から見えた光景をふと思い出した。
束李が見学していた陸上部から奥の方にできていた女子高生の集団。
声援に目もくれず、集中していた人。
「あれは、サッカー…部?」
視界の端で見えていただけなのに覚えている光景。
美陽は初めて胸が高鳴るのを感じた。
行きたい高校もなく、友達と同じ高校を選んだ。
1回だけその友達と見学に来たことがあった。
「美陽、私部活の見学してくるけど…どこで待ってる?」
友達の上田束李は活発で、中学の頃も部活を一生懸命にやっていた。
「んー…私は図書室見に行こうかな。通い始めたら使うと思うし」
次沢美陽は活発な束李とは違い、中学も部活には入らず、帰宅部でいた。
「分かった、終わったら連絡するね!」
「うん、お願い」
「じゃあ、行ってきまーす」
楽しそうにグラウンドに向かう束李を見送る。
美陽は鞄を持ち直し、図書室に向かった。
「やっぱり種類が豊富だな」
ライトノベルに文芸、哲学書籍に参考書、歴史文献など幅広い本があった。
美陽は図書室の中に入り、窓際の一番端の席に鞄を置いた。
気になる本を手に取りパラパラと数ページ捲る。
読めるだけの本を腕に抱え、鞄を置いた席に戻った。
中学の頃も束李の部活が終わるまで図書室で時間を潰していた。
美陽が座った席の窓からは丁度、グラウンドで部活動している運動部が見えた。
束李が見学している陸上部の姿もあった。
キーンコーンカーンコーン…
学校の鐘が聞こえて五時であることに気づく。
「もう終わりなんだけど…」
「あ、すみません」
司書の萩村侑士が美陽に声をかける。
美陽は読んでいた本をあった本棚に戻した。
侑士と共に図書室を出る。
「また来るといいですよ」
「はい、ありがとうございました」
侑士は「さようなら」と言って階段を下りて行った。
美陽はハッと思い出し、鞄の中から携帯を取り出す。
携帯を開けば束李から複数、連絡が入っていた。
美陽はすぐさま束李に電話をした。
「ごめんね束李」
『本当よ。後でジュースおごってね』
「うん、分かった」
『じゃ、玄関からすぐ出たとこで待ってるね』
美陽は携帯を鞄にしまい、すぐに玄関に向かった。
靴を履いて外に出ると、束李は待っていた。
「美陽遅い」
「ごめん束李」
「まあ、気づかなかったら仕方ないよ。帰ろ」
「うん」
美陽は束李に謝り、束李は振り返り笑った。
「束李はまた陸上やるの?」
「うん、今日は空気を掴む為の見学でね。それはそうと、美陽は何かやらないの?」
束李は小学校の頃からクラブに入っており、中学の時も陸上部に所属していた。
大会も中学三年間連続優勝する程の実力の持ち主だ。
「私はやりたいこともないから、どこにも入らないかな」
美陽は束李みたく運動が得意と言う訳でもない。
運動よりも勉強や本を読んだりしている方が好きだった。
「部活始まったら帰りも遅くなると思うけど」
「図書室にいるよ。閉まったら教室にいるし大丈夫」
「分かった。美陽がいいならいいか」
束李は微笑み言う美陽に対しどこか諦めたような、嬉しいような悲しいような複雑な気持ちで言った。
束李と別れた後、美陽は窓から見えた光景をふと思い出した。
束李が見学していた陸上部から奥の方にできていた女子高生の集団。
声援に目もくれず、集中していた人。
「あれは、サッカー…部?」
視界の端で見えていただけなのに覚えている光景。
美陽は初めて胸が高鳴るのを感じた。