あと数日でテスト当日がやってくる…。
美陽、束李、悠琉、龍月の4人もピリピリと緊張感を張っていた。
しかも、悠琉と龍月は3年生であり結果を出さなければならなかった。

「先輩達ってさ~…大変な時期なんだよね」

美陽の家のリビングで勉強していた束李が、手を止めて美陽に聞く。
美陽も一旦手を止める。

「3年生だもん、仕方ないよ。私達も今から何かしらの準備はしなきゃね…」

美陽はまた手元に目を戻す。
そっかと小声で呟き、束李も勉強に戻った。
朝から勉強して2人は昼前に休憩をとる。

「ねえ、美陽…」

美陽に話しかける束李はどこか悲しそうだった。
美陽はクッキーとお茶をお盆に乗せて運ぶ。

「どうしたの、束李…束李?」

美陽は束李の隣に座る。
すると横から束李は美陽に抱き着いた。

「何でこんな時期に…好きになっちゃったかな」

そう話す束李の声は少し涙ぐんでいた。
美陽は優しく話しかける。

「…葵井先輩の事?」

束李は黙って鼻をすんと鳴らしながら頷いた。
束李は美陽から離れて俯く。

「部活も…もうすぐで引退でしょ?」

美陽は束李の問いに1つずつ頷く。
涙を拭って話を続ける。

「そしたらさ、受験まっしぐらで…一緒に馬鹿やったりできなくもなるでしょ?」

拭いても拭いても出て来る涙。
しかし、美陽は思っていた。
束李が自分の恋を諦める必要はないんじゃないかと。

「束李は、気持ちを伝えずにいて後悔しない?」

束李は美陽の問いかけに首を振る。

「…きっとチャンスは今しかなくて、多分言わないとずっと後悔すると思う」

美陽は束李の頭を撫でた。
そして一言束李に言う。

「じゃあ、後悔しないように言わなきゃ!自分でも分かっているんだったらさ…今からでも遅くはないと思うけど、まともに遊んだりできないからテストが終わったあたりに」

束李は頷き美陽にまた抱き着いた。

「ありがとう美陽」
「うん!」

美陽は頷き束李の背中に腕を回した。
2人はまた勉強に戻った。
もうすぐでテスト…。
赤点を取らない様に4人は個々でも頑張った。