「先輩と出会ってから起きたこと、全てが私にとって初めてのことでした」

胸が高鳴ったり、気持ちが沈んだり、誤解されるのが嫌だったり…。
どれも全部、美陽にとっては初めてのことだった。

「付き合うのも、身内ではない異性とお出かけするのも先輩が初めてで。先輩といるといつも嬉しくて楽しくて」

心が躍るそんな毎日。

「今だから言えますけど、最初は先輩にもあまり興味はなくて」

美陽がそう言うと悠琉は肩を落とす。

「図書館のいつも私が座っている席からグラウンドが見えて、いつも人だかりができていて人気者なんだなっていう程度で」

美陽の世界にはずっと親友である束李だけだった。
その世界に彩をくれたのは間違いなく…。

「先輩でした」