暫くして、悠琉が美陽の方へ走ってくるのが見えた。

「先輩!」
「ごめん…巻くのが大変で」
「ははっ、先輩は人気者ですもんね」
「でも、俺が好きなのは美陽だよ?」

口を押さえて笑う美陽の顔を悠琉はのぞき込む。
美陽はびっくりして心臓が止まりそうだった。

「それで話って何かな?」

美陽はもう一度深呼吸をする。
心の中で何度も大丈夫、と自分に言い聞かせた。

「先輩、私ね――…」

悠琉は真剣な表情で美陽を見つめる。

「先輩のことが、大好きなんです!」

悠琉は美陽の言葉に一瞬、目を見開いた。
頬を赤く染める美陽は悠琉を真っ直ぐに見る。
これは美陽が一番、悠琉に伝えたかった言葉…。