「いや、よく似合う。大丈夫だ。自信をもっていい」

修一郎さんはいつもの優しい笑顔で私の頭をポンポンとした。

大人っぽくしたつもりなのに修一郎さんさんからの扱いは年下の女の子に向けたような頭ポンポン。
自信を持っていいと言われた割には年下の女の子、いや扱いは妹とかペットかも?

気持ちはさらに下向きになる。

修一郎さんから背を向けて小さくため息をついた。
仕方ないことだけど・・・。

「じゃあ、行きましょうか」

私がドレッサーの椅子の背にかけておいたコートを手に取ると、修一郎さんが慣れた感じで私の手からコートを奪って着せてくれる。
こんなスマートなエスコートも普通にできるところも彼がモテる一因なんだろう。

私が歩き出そうとすると、急に腕を引かれた。

「ノエル、顔色がいまいちのような気がする。体調でも悪い?」

そう言って私の顔をのぞき込んでくる。
急に近付いた顔に驚いてしまい胸がどきんと弾み顔が赤くなる。

恒例だった朝のハグと頬へのキスは修一郎さんが酔って女性と帰宅した日の翌朝からしていない。
だからこんなに近くで修一郎さんの顔を見るのは久しぶりでドキッとしたのだ。

「・・・大丈夫です」

なんとか返事をすると、修一郎さんも頷いた。

「ああ顔色、一気によくなったな」

そう言ってクスリと笑うから恥ずかしいだけでなく腹立たしくも感じる。

どうせ私はいろいろ免疫のない子どもです。
ひと言言いたくなったけど、堪えた。そういう所が子供なんだ。

今度は修一郎さんに見つからないようになんて我慢をしないで大きくため息をついてから、修一郎さんの腕に自分の腕をしっかりと絡ませて修一郎さんの顔を見上げて言った。

「エスコートお願いします」

「かしこまりました。お姫様」

私の頭にキスが落とされて、私たちはパーティー会場に向かった。