「そ、それどういう・・・」

「そういう事だよ。今まで照れくさくて言ってなかったけど。
心の傷とストーカー被害にあって追い詰められてるノエルの気持ちを考えてゆっくり俺に気持ちを向けられるように進めるつもりだったけど、そうもいっていられないみたいだからな。ここでしっかり言っておくよ。
こんなところで逃げられたりしたら意味がない」

私は固まってしまって動けない。

今修一郎さんが言っていることは真実なんだろうか。

「ノエル、しっかり聞いてる?今までも俺の気持ちは態度で示してきたつもりだったけど通じてないみたいだし、逃げ出そうとするし。
いいか、過去に誰に何を言われたか知らないけど、俺はノエルのことが好きでノエルの事しか触れたいと思わない。君が大事で手放せない。
俺にとってはストーカーとか会社の事業提携の方が言い訳なんだ。
ノエルを近くに置きたくて婚約話を持ち掛けた。もちろん、ノエルを助けたい、守りたいってって思ってる。
ノエルが何と思っても、ここから圭介君のところには返さないから」

修一郎さんの思わぬ発言に呼吸すら忘れそうになる。

「今すぐにノエルの返事を求めることはしない。
でも、俺の気持ちはノエルにあって、俺は最初から婚約も本気でしたいって思って提案した。それはうちの両親にも姉夫婦にも伝えてある。だから、ノエルも真剣に俺との将来のことを考えて欲しい」

「しゅ、修一郎さん・・・」

「ノエル、答えは急がない。ただ、むやみに俺から離れる選択をするな。わかった?」

修一郎さんは立ち上がり私の頭をぽんぽんっとすると、

「夕食は自分で温めて食べるからノエルはもうおやすみ。今、俺と向かい合ってもどうしていいのか困るだろ」

と言ってダイニングテーブルに向かっていった。