保健室で私は湿布を貼ってもらった。
それと同時に
担架で運ばれた陸が保健室へやってきた。


どうやら目が覚めたらしい。


「陸!?大丈夫!?」


「・・・・・ああ、
 大丈夫だけど・・・あんた誰?」


「私を庇ってくれたんだよ?」


「そうじゃなくて、なんで・・・」


「えっ?覚えてない?
 私だよ、陸の彼女だよ?」


私がとっさにそう言うと、
陸は怪訝そうな顔を見せた。


「なんでお前が彼女?」


「え・・・」


「なあ、唯は?
 唯がいるはずなのに」





唯って、誰?





「陸・・・」


「ここどこだ?」


明らかに様子がおかしい。


もしかして、
もしかしたら陸は・・・。


「陸。今何年生?」


「中3に決まってるだろ。
 それよりお前は誰だ?」


「中3のいつ?」


「ちょうど夏休みだけど」





記憶が戻った?


ううん。違う。
だって私のことを覚えていないんだもん。


じゃあ、何?唯って誰?


私には分からないことだらけで、
もしかしたらと不安になった。






・・・もし。もしもね?


記憶が完全に戻らないにしても、陸は多分・・・。


「陸、唯って誰?」


「俺の彼女だよ」





ああ。当たってしまった。


陸は記憶が完全に戻ったんじゃない。


中学の頃を思い出したんだ。


私と再会する、あの夏までのことを。