朝起きると、私は1人だった。


歩夢の手を求めて手を彷徨わせる。


けれど歩夢の姿はなかった。


「あ・・・」


そっか、歩夢はもう
いないんだ・・・。


そんな喪失感で、朝を迎えた。


歩夢の温もりが、存在がどれほど
大きかったのかを知る。


ううん。後悔なんてしない。


私は自分で自分の道を選んだんだから。


そんな寂しい朝は1週間たっても
慣れなくて、いつも必ず大きな喪失感を伴う。


「起きなきゃなぁ・・・」


あれから陸との距離感も分からなくなってる。


いつ起こるか分からない記憶障害に
私が追いついていけないだけなんだけど・・・。


ゆっくりと起き上がってシャワーを浴びる。


焼けたトーストにかじりついて、
テレビをつけた。


今日もまた、新しい1日が始まる。


私はこれからどうしていけばいいんだろう。


陸に好きだと言われた。


私も陸が好き。だけど、
付き合おうとか、
そんな話にはなっていない。


ずっとモヤモヤした気持ちを抱えて、
毎日を過ごしている。




「行ってきまーす・・・」


誰にでもない挨拶を
ポツリとすると、私は家を出た。


階段を降りて駐輪場に向かうと、
見知った顔がいた。



「あ、歩夢・・・?」