左手薬指をまじまじと眺める。


シルバーに光り輝くそれは、
存在を主張しているかのように綺麗に光っていた。


嬉しくて舞い上がる自分がいた。


隣で寝ている歩夢の左手薬指にも、
同じシルバーがキラキラ光っている。


改めて見ると、
歩夢の手って大きいんだなぁ。


大きくて細い手。
私はそっと歩夢の左手薬指に触れた。


「んー?もう朝?」


「うん。ごめん、
起こしちゃった?」


「全然。今起きる・・・」



まだ眠たそうな歩夢を見ると
頬の筋肉が緩む。


「んー。若葉ー」


「なあに、歩夢」


「おはようのちゅーは?」


「へ?ちょ、ちょっと歩夢!?」


私が慌てていると、歩夢はぐいっと
身体を起こして、ふいにキスをした。


「なっ・・・歩夢!」


「はは。怒ったー」


今日はやけに子供っぽい。
どうしたんだろう・・・。


私が心配そうに歩夢を見ると、
歩夢はくすくすと笑った。


「あはは。からかいすぎたかな。
ごめんごめん」


「からかってたの!?」


「だって若葉、指輪買ってから
ずっとぎこちないんだもん」


「だ、だって・・・っ」



・・・恥ずかしかったから。


婚約指輪なんて、
私には縁遠いものだと思ってたのに、
まさかこんな形でもらえるとは・・・。


私が照れ隠しにベッドから起き上がると、
歩夢も起き始めた。