またもや意味不明の行動に目をパチクリしたまま見上げていると、そのままエレベーター前に立ち止まりまた意地悪な顔で楽しげに唇を歪めてくる。


「最後に置き土産。見られたら超噂になるだろうな。見つかるか見つからないかは、君の運次第。
……もう休憩時間も終わりか」


そんなの絶対に見つかるに決まってる。


「お、下ろしてっ!」


「やだ。連日告白、プロポーズされてる隙だらけの君が悪い。キスマークだけじゃ物足りないくらいだ」


早くも嫉妬丸出し超劇レア俺様の二回目の登場に、呆れながらもつい笑い声を漏らしてしまう。


「最後に俺の我儘利いて。次に帰国したら、君の我儘全て利く」


「……無理。早く下ろし!?」


すぐ後ろの会議室のドアノブの音に、私はピタリ口と目を閉じ泣く泣く先輩の逞しい左肩に頭をもたれさせた。

間違いなく勝ち誇り面でいる先輩に、脳内でアンパ~ンチ! をお見舞いしながら……。

悔しい! けど大好き!

そう思いながら必死に貧血のフリをした。